雑損控除
2024/04/15
皆さんこんにちは。
早いもので令和6年も4分の1が過ぎましたね。
今年は元旦から能登半島地震という大きな災害がありました。
被災地の一日も早い復興を心からお祈りいたします。
先日、税理士会では今回の地震被害に遭われた方の減税措置である「雑損控除」の適用に関する研修が行われました。
なお、今回の能登半島地震では、石川県と富山県の納税者の方は申告期限が一律に延長されています。
ところで、この雑損控除とはどういう制度であるか皆さんはご存知でしょうか。
雑損控除とは、個人の方が災害、盗難、横領により自己の所有する資産に損害を受けた場合に、一定の金額を所得から控除できる制度です。
今回の能登半島地震で自宅などが被害に遭われた方は、もちろん雑損控除の対象となります。
ちなみに、雑損控除については注意事項があります。
雑損控除の対象となる損害については、法律で以下のものに限定されています。
① 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
② 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
③ 害虫などの生物による異常な災害
④ 盗難
⑤ 横領
つまり、今回の震災以外にも、例えば火災で自宅が消失した場合やシロアリ被害などは対象になります。
他にも泥棒に入られて現金や貴金属を盗られた場合もOKです。
ところが、例えば特殊詐欺などにより損害を受けた場合などは対象外となります。
判断のポイントとしては、その被害が「自分の意志によるもの」である場合には対象外となってしまうのです。
最近のニュースで、大谷翔平選手の元通訳が26億円を超える金銭を大谷選手の口座から不正に送金してギャンブルに費消していましたね。
例えばこの場合、元通訳が勝手に大谷選手の口座から金を奪っていたのであれば、横領になりますので雑損控除の適用はありますが、仮に元通訳が大谷選手を騙して大谷選手の同意のもとで送金をしていたのであれば、それは「詐欺」に当たると思われますので、雑損控除の適用外となってしまいます。
もっとも、大谷選手は現在アメリカに居住しているため、日本の居住者ではありません(非居住者)ので、仮にCM出演料など日本で所得があったとしても、今回の件に関して雑損控除の適用を受けることはできないと思います。
皆様の中でも例えば海外駐在員などで海外に居住する場合には、その赴任形態や日本での収入の有無(例えば不動産収入など)によって課税関係は違ってきますので、お気をつけください。不安な方は、出国前に税理士へご相談されることをお勧めします。
《参考》
No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁 (nta.go.jp)
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