島村智士税理士事務所

政治献金と税について

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政治献金と税について

政治献金と税について

2024/01/29

皆さんこんにちは。

1月26日に第213回通常国会が召集されましたね。
今回の国会は、年末からの自民党の政治資金規正法違反に端を発した「政治とカネ」が最大のテーマになりそうな感じです。
ところで、政治献金というのは、個人や企業が政治家や政党に対して行う寄付の一種であり、政治献金を行った方は税制上の減税措置を受けることができます。
また、政治献金自体は、政治家の政治活動を支える重要な資金源である一方、政治献金により特定の人物や業界により政策が歪められることがないよう政治活動を国民の監視と批判の下に置くために、政治資金規正法は、政治団体に係る政治資金の収支の公開や政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受を規制しています。
今回の問題は、政治資金規正法の趣旨に反して、政治資金パーティの収入の一部を政治資金収支報告書に記載せずいわゆる裏金として運用していたことです。

さて、議員さん達が受け取った政治献金は、税務上どのように取り扱っているのでしょうか。
本来、献金であれ寄付であれ個人が他人から金銭の授受を受けた場合は何らかの税がかかるべきです。
所得税は、個人の所得を10個の所得に区分して、それぞれの所得ごとに計算をしていきますが、受け取った金銭が偶発一時的なものであれば「一時所得」に該当するでしょうし、継続的に受領していれば「雑所得」となるかも知れません。もしくは、何の反対給付(つまり「見返り」)もなくお金を受け取れば「贈与税」の対象となることも考えられます。

にもかかわらず、なぜ政治献金を受け取った政治家には税金がかからないのでしょうか。
その理由は、政治献金が「日本の政治のために役立ててください」と国民の善意により寄付された金銭であり、それを受け取った政治家は、当然これを自分の懐に入ることはあり得ず、日本の政治のため真に必要な支出に正しく使用しているであろう、という前提のもと、これを政治家本人の利得しているとして課税することは酷であると考えているからだと思われます。

ところが、もし万が一、今回のような裏金と称する資金が政治家個人に還流され、これを政治家が個人的に使い込んでいたとしたらどうなるでしょう?

今回の件で、多額のキックバックを受けていた政治家は、当然自身の政治資金収支報告書の訂正を行うと思われますが、収入はもちろん、支出もきちんと明らかにできるのでしょうか。

「キックバックされたお金は、正当な政治活動に使ったが、いつ、何に、いくら使ったかは分からない」となった時にどうするのでしょうかね。(実際、テレビでそのような趣旨の発言を行っていた政治家がいましたね。)

ちなみに、税務の世界で「経費として正しく使ったことは間違いないが、領収書を残していないので誰にいくら払ったかは不明である。」と主張しても、税務署は絶対に認めてくれません。そもそも、高額な飲食費については、いくら領収書があっても経費に落とせないものもあります。

我々国民には、厳しいことを要求しておきながら、自分たちのことになると甘くなる・・・もっと我々が怒るべき問題だと思うのは私だけでしょうか?

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