【税理士が解説】投資で得た利益(株・FX・暗号資産・金売買)の申告ってどうするの?
2026/02/17
明日からいよいよ令和7年分(2025年分)の所得税の確定申告受付が始まります。最近は、株価も右肩上がりの状況が続くなど、投資による収益を申告する必要がある方が増えてきました。また、最近は、株式投資だけでなく、FX、暗号資産(仮想通貨)、金(ゴールド)への投資への関心も高まっています。一方。多くの方から「利益が出た場合にどんな税金がかかるのか分からない」という相談が非常に多く寄せられています。
そこで今回は、税理士である私が、「株式譲渡による利益」「FX投資による利益」「暗号資産の売買による利益」「金地金の売買による利益」の4つについて、その違いやメリット・デメリットについて分かりやすく解説いたします。
1. 株式の売却で得た利益(株式譲渡益)の税務
⑴ 所得区分と課税方式
株式などの金融商品を売却して得た利益は、税務上「譲渡所得」に分類され、申告分離課税の対象となります。つまり、給与所得などとは切り離して税額を計算する仕組みです。
上場株式等の売却益は、毎年多くの投資家が申告する典型的な所得であり、税制面で一定の優遇が設けられている点が特徴です。
⑵ どのように利益を計算するのか
株式の売却益は次の式で求めます。
譲渡益=売却金額 −(取得費+証券会社への手数料等)
取得費には買付時の株価だけでなく、購入時の委託手数料なども含まれます。
なお、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、売却益があれば証券会社が自動的に税額を計算し源泉徴収しますので、確定申告を行わなわずに済ますこともできます。(他の特定口座や過去の売買で損失(赤字)がある場合は、確定申告を行うことで源泉徴収をされた税金の還付を受けることもできます。)
⑶ 税率
・所得税:15%
・復興特別所得税:0.315%
・住民税:5%
・合計約20.315%となります。
⑷ 損益通算と繰越控除
株式に関しては損失を翌年以後3年間繰り越して益金と相殺できる制度があります。これにより、損失が出た年でも翌年度以降の税負担を軽減できます。
2. FX投資で得た利益の税務(外国為替証拠金取引)
⑴ 所得区分
FX取引による利益は「先物取引に係る雑所得等」に分類され、株式と同じく 申告分離課税 の対象となります。
FXは株式とは異なる金融商品ですが、税率や課税方式はほぼ同じで、投資家にとっては分かりやすい制度です。
⑵ 利益の計算方法
FXの利益は次の項目で構成されます。
・取引の決済損益
・決済したスワップポイント
・必要経費(システム手数料等)
計算式は次のとおりです:
課税対象額=決済損益+スワップ損益−必要経費
スワップポイントも利益として扱われるため、決済した時点で課税対象になります。
⑶ 税率
FXの税率は株式と同じで、一律約20.315%です。
⑷ 損失の取扱い
FXの損失も、株式同様に3年間の繰越控除が可能で、将来の利益と相殺できます。ただし、暗号資産など他の所得とは通算できない点に注意が必要です。
3. 暗号資産(仮想通貨)売却による利益の税務
⑴ 所得区分と課税方式
ビットコインなどの暗号資産を売却して利益が生じた場合、その利益は「雑所得」に分類され、総合課税となります。
総合課税とは、給与や事業所得など他の所得と合算して税率が決定される方式です。
暗号資産は法律上「貨幣ではなく、財産的価値を持つもの」とされています。そのため、株式やFXとは異なる課税体系となっています。
⑵ 利益の計算方法
暗号資産の利益は以下の式で求められます。
利益=売却金額(円換算)−取得価額(円換算)
取得時・売却時ともに「その時点の円換算額」で計算します。また、
・暗号資産同士の交換
・暗号資産でサービスを購入
といった取引も「売却したもの」とみなされ課税対象となります。
⑶ 税率…最大55%になることも
総合課税のため、適用されるのは累進税率(5〜45%)です。
住民税10%を加えると、最大55%に達します。
利益が大きい人ほど税負担も大きくなる仕組みで、株式やFXと比べて不利な点の一つです。
⑷ 損益通算不可
暗号資産の損失は、その他の所得(給与所得・株式・FXなど)との損益通算や翌年への繰越ができません。
損失が出ても税金が軽減されない点が大きな特徴です。
4. 金地金(ゴールド)売却による利益の税務
⑴ 所得区分
金地金を売却して利益が出た場合は、「譲渡所得」に分類され、暗号資産と同じく総合課税となります。
ただし、金には独自の優遇制度があります。
⑵ 利益の計算
譲渡所得=売却金額−(取得費+売却手数料等の経費)
ここまでは通常の譲渡所得と同じです。
⑶ 50万円の特別控除
金地金の譲渡所得には、年間で最大50万円の特別控除があります。
例えば、譲渡益が40万円なら課税対象はゼロとなり申告不要です。
⑷ 長期保有の優遇
金を 5年以上保有して売却した場合、「長期譲渡所得」となり、
課税対象額が1/2に軽減されます。
長期保有が前提の資産としては、税制上のメリットが大きい分野です。
【まとめ】4つの投資の税務上の違いを比較
以下、特徴を簡単にまとめます。
| 投資商品 | 所得区分 | 課税方式 | 税率 | 損失繰越 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 株式 | 譲渡所得 | 申告分離 | 一律20%台 | 3年可 | 特定口座で簡便 |
| FX | 先物雑所得 | 申告分離 | 一律20%台 | 3年可 | スワップも課税 |
| 暗号資産 | 雑所得 | 総合課税 | 最大55% | 不可 | 損失通算なし |
| 金地金 | 譲渡所得 | 総合課税 | 累進税率 | 不可 | 50万円控除・長期優遇 |
【おわりに】
確定申告において「投資の利益」の扱いは、多くの方が迷うポイントです。しかし、それぞれの投資商品ごとに所得区分や課税方式が異なるため、その違いを理解するだけで負担が大きく変わります。
もし、具体的な計算例や確定申告書の書き方、またはあなたの状況に合わせたアドバイスが必要でしたら、お気軽にご相談ください。税務の専門家として、最適な申告方法をご提案します。
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