令和8年度税制改正大綱のポイント解説(その3・投資促進・防衛財源の確保)
2026/01/05
皆さん、明けましておめでとうございます。
今日から仕事始めという方も多いのではないかと思います。
当事務所も本日から新しい年のスタートになります。
年が明け、税務の世界ではこれから3月末までが一年でもっとも忙しい時期になります。
昨年はお陰さまで多くのご縁をいただき、事務所も3年目となり少しずつ成長ができました。
今年も初心を忘れることなく誠実に託された業務を確実に遂行して行きたいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨年末からお伝えしています令和8年度(2026年度)税制改正大綱のポイントについてですが、今回は企業の投資を促進するための税制と防衛力を強化するための財源確保のための税制について解説をさせていただきます。
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まとめ(ポイント) ⑴ 企業の設備投資・研究開発への税優遇が創設・拡充され、企業がより大胆な投資や先端技術開発に取り組みやすい仕組みが導入されます(税額控除や即時償却の選択)。 ⑵ 防衛財源の確保策として、防衛特別法人税が創設され、一定の法人税額に4%の付加税が課される仕組みが導入されます。
こうした改正は、経済成長の底上げと安全保障の安定的な財源確保という2つの重要な目的を同時に追求するものです。 |
1 企業向け税制・大胆な投資促進の仕組み
政府は「強い経済をつくること」を大きな柱に据え、企業が新しい設備投資や研究開発(R&D)に積極的に取り組むことを後押しする税制措置を打ち出しました。これは企業の収益や技術力を高めるだけでなく、長期的な経済成長につなげるねらいがあります。
(1)設備投資に対する税制優遇
まず、新たに大規模・高付加価値の設備投資に対する税の優遇制度が創設されます。具体的には、企業が機械や設備、ソフトウェアなどを購入した場合に、次のようなメリットが選べるようになります
・即時償却(購入した資産の費用を早く経費にできる)
→ 本来は何年にも分けて費用化するはずの設備を、一度に費用として扱える仕組みです。早く費用化できるほど税金が減り、手元の現金が残りやすくなります。
・税額控除の選択
→ 投資した金額の一定割合(例:機械の場合は7%/建物付属設備等は4%程度)を法人税から直接差し引く制度も選べます。
→ たとえば、新しい機械を購入したら、その費用の7%分、企業が支払う法人税を直接減らすことができる制度です。この制度では、税額控除の上限として法人税額の20%までが目安とされ、使い切れない分は最大3年間繰り越せる仕組みもあります。
こうした優遇は、設備投資全般に対して活用できる可能性があり、特に機械化・デジタル化・省エネ化を進める企業にとって有利です。
(2)研究開発(R&D)税制の拡充
政府は、単に既存の設備を導入するだけでなく、日本が将来に強みを持つための先端技術への投資を強化するため、研究開発に対する優遇も拡充しました。これは、特に人工知能(AI)、量子技術、半導体、バイオ・ヘルスケア、宇宙開発などの**「戦略技術分野」**を対象としています。
具体的には、こうした分野で認定を受けた研究開発費について、最大で40%(委託や共同研究の場合は50%)の税額控除が受けられる制度が創設される予定です。また、控除しきれない分は3年間繰り越せる仕組みも導入されます。
2 防衛財源の確保――税の仕組みの変更
政府は、防衛費の抜本的な強化を図るための安定した財源確保が必要だとして、税制上の措置も盛り込みました。これはいわゆる「防衛財源確保策」と呼ばれています。
(1)防衛特別法人税の創設
法人税について、通常の法人税額に対して追加で4%の税率(付加税)を課す「防衛特別法人税」が設けられます。これは令和8年(2026年)4月1日以後に開始される各事業年度から適用される予定です。
具体的には、次のような計算になります
法人税の額 – 500万円(基礎控除) × 4% = 防衛特別法人税
つまり法人税額から500万円を最初に差し引いた残額の4%が、追加で課税される仕組みです。基礎控除の設定は企業の負担を一定程度緩和するための措置です。
※ なぜ防衛税が必要か?
この制度導入の背景には、日本が国際情勢の変化や安全保障環境の厳しさに対応して防衛力を強化する必要があるという政府方針があります。それを支えるためには継続的かつ安定した税収が必要であり、法人税という大きな税源に一定の付加税を設けることで防衛費用の財源を確保しようという考え方です。
用語解説
・法人税:会社のもうけ(利益)に対してかかる税金。
・税額控除:算出された税金から直接差し引ける制度。控除額が大きいほど税負担が減る。
・即時償却:本来何年にも分けて認識する費用を一度に費用化すること。税金を少なくする効果がある。
・繰越控除:控除しきれない分を将来の税金に使えるように先送りする仕組み。
投資促進税については、今回の改正では先端分野(AIや半導体など)への投資により手厚い制度となったようです。
ただ、投資促進税制のうち税額控除は投資した機械や設備の7%ないし4%を納付する法人税から直接引いてもらえるため、非常に減税効果が高い制度だと言えますので、積極的に活用を考えていきましょう。
また、「防衛特別法人税」については、500万円の基礎控除が設けられたことから、中小企業の多くは課税を受ける可能性は低いと思われます。
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