事業承継を考えている経営者必見!(今が最後のチャンスです)
2025/08/25
1 はじめに
中小企業庁によれば、2025年に平均引退年齢の70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者約245万人のうち、約半数の127万人は後継者が決まっていないと言われています。そして、この現状を放置すれば、中小企業の廃業が急増し650万人の雇用と22兆円のGDPが失われてしまう可能性があります。
このように、事業承継の問題は、単なる「企業の跡継ぎ問題」ではなく、日本経済全体の問題として、中小企業の円滑な世代交代を促進することが急務となっています。
もともと、中小企業を対象とする事業承継税制というものは、平成21年度に創設されていましたが、これを適用して事業を承継することは、様々なハードルをクリアする必要があることから、この制度を活用していた中小企業は年間に約500件程度と非常に低調となっていました。
そこで、平成30年度の税制改正により、従来の制度より要件を大幅に緩和した新たな事業承継税制が令和9年末までの時限措置として創設され、この期間に事業承継による世代交代を集中的に促進することになりました。
今回は、この特例事業承継税制の仕組みや注意点について解説します。
次世代に事業を引き継いでもらいたい経営者の方は、ぜひお読みください。
2 事業承継は「経営のバトンパス」
事業承継とは、単に会社の代表を交代するだけでなく、「経営権」「株式」「人材」「信用」など、企業の根幹を次世代に引き継ぐ重要なプロセスです。特に株式の承継には、贈与税や相続税が発生するため、資金面での不安が大きく、承継をためらう経営者も少なくありません。
特例事業承継税制は、事業の承継を親族などに限定せず、有能な社員などやる気と能力のある方に事業を引き継いでもらい、なおかつ、通常は経営者から承継者へ株式等の異動を行う際に発生する贈与税や相続税の負担を実質的に減免することができる制度です。
それでは、ここからは具体的な制度の概要や、従来の制度との違いについて解説します。
⑴ 制度の概要:特例事業承継税制とは?
イ 制度の目的
中小企業の円滑な事業承継を支援するため、後継者が自社株を取得する際に発生する贈与税・相続税の納税を猶予し、一定の条件を満たせば免除する制度です。
ロ 対象となる企業
- 非上場の中小企業(資本金1億円以下など)
- 中小企業基本法に定める業種別要件を満たすこと
- 会社の代表者が後継者に交代すること
- 後継者が株式の過半数を取得すること
ハ 適用期間
- 特例承継計画の提出期限:2026年3月31日まで
- 贈与、相続の実行期限:2029年12月31日まで
- 従来制度との違い(詳細解説)
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比較項目 従来制度 特例制度 対象株式 発行済株式の3分の2まで 全株式が対象 後継者数 1人のみ 最大3人まで指定可能 雇用要件 5年間平均8割維持 弾力化(理由があれば免除) 猶予割合 贈与税:100%、相続税:80% 贈与税・相続税ともに100%猶予 株価評価 承継時の評価額で固定 株価下落時に再評価可能 承継元 先代代表者のみ 親族外株主も対象に拡大
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解説ポイント
- 株式の対象範囲が拡大
従来は3分の2までしか猶予対象にならなかったが、特例では全株式が対象となり、後継者が経営権を完全に握りやすくなった。
- 複数後継者の指定が可能
兄弟や共同経営者など、複数人で承継するケースにも対応。
- 雇用要件の緩和
理由があれば、雇用維持率が8割を下回っても猶予が継続される。
- 株価の再評価
承継時に高値だった株式が後に下落した場合、再評価して税額を減らすことが可能。
⑵ 特例事業承継税制のメリット
イ 贈与税・相続税の納税猶予
- 贈与税:後継者が生前贈与で株式を取得した場合、贈与税の納税が100%猶予されます。
- 相続税:先代経営者が亡くなった際に株式を相続する場合、相続税も100%猶予されます。
ロ 免除の条件
- 事業を継続していること(廃業していない)
- 雇用要件を満たす、または満たさなくなったことに合理的な理由がある
-
5年間の継続報告を都道府県に提出している
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3 適用手続きと期限
前述のとおり、特例事業承継税制を使って事業承継を行えるのは令和9年12月31日までとなっています。
ただし、当制度の適用を受けるためには、「特例承継計画」を令和8年3月31日までに都道府県庁に提出しなければなりません。
適用までの流れは以下のとおりとなっています。
| ステップ | 内容 | 期限 |
| ①事前相談 | 認定支援機関(税理士・商工会議所等)と相談 | 随時 |
| ②特例承認計画の提出 | 都道府県庁に提出(会社・後継者・株式の状況を記載) | 2026年3月31日まで |
| ③贈与・相続の実行 | 実際に株式を後継者に移転 | 2029年12月31日まで |
| ④納税猶予申請 | 税務署に申請(贈与税・相続税の申告期限内) | 贈与・相続後すぐ |
| ⑤継続報告 | 毎年、事業継続状況を都道府県に報告 | 5年間 |
| ⑥免除申請 | 継続要件を満たした場合、猶予税額を免除 | 5年経過後 |
4 節税シミュレーション
それでは、実際に特例事業承継税制を活用すると、どの程度の節税効果が得られるのでしょうか。
以下に単純に株式を贈与した場合と特例事業承継税制を適用した場合の贈与税の納税額を比較していますが、ご覧のとおり大幅な節税ができることがお分かりいただけると思います。
ケーススタディ:株式評価額3億円の場合
| 項目 | 通常の贈与 | 特例制度適用時 |
| 評価額 | 3億円 | 3億円 |
| 贈与税率(仮定) | 約55% |
0%(猶予) |
| 税額 | 約1億6,500万円 | 0円(免除可能) |
※中小企業庁のホームページに、特例事業承継税制を活用して多額の贈与税や相続税の納税を免除した企業の実例が紹介されています。
https://mirasapo-plus.go.jp/resource/pdf/application_1909.pdf
5 まとめ
特例事業承継税制は、事業承継に伴う税負担を大幅に軽減し、企業の存続と成長を支える強力な制度です。制度の活用には事前準備と専門家の支援が不可欠ですが、正しく使えば「税金で会社を手放す」ような事態を防ぐことができます。
後継者問題に悩まれている経営者は、一度税理士にご相談されてはいかがでしょうか。
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